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奥井宗夫のむねのおく 2-20

「よみがえる総天然色の列車たち第2章20 蒸気機関車篇<前篇>」のむねのおく(その2)

―次に出てくるのが、北陸本線のデゴマルを中心に撮った映像です。

奥井 あれは、1日で行って帰ってきているので、あれぐらいしか撮り様がなかったですね。その代り、彦根に回って、近江鉄道をだいぶ撮りましたから。あれが結局、他の巻(「ローカル私鉄篇」)でだいぶ役に立ってますが……(笑)。

―短いフィルムで最初、昭和37年に北陸に旅行された時に写されたフィルムが入っています。これにチラッとE10が写っている……。

奥井 ええ、写っています。

―大部分は、E10はもう退いて、入れ替わってD50が入った後ですか。

奥井 そうです。まだ残ってるかな、と思っていたんですが、残っていなかったですね。本来はE10を撮りに行ったつもりなんですがね。

―その当時、北陸本線では交直セクション用のつなぎとしてこれが入ってきているのですね。蒸気機関車がしばらくここで、活躍することになるんですが。

奥井 スチールで1回、E10の重連があってね、それを写してあるんですよ。ホームからですけどね。

―スチールだけ撮っておられるのですね。

奥井 団体旅行で入ってたもんですから。振り回せなくて(笑)。

―田村駅は今でこそホームがあるだけで、その間には何もないのですが、今もホームの位置は変わらないですね。

奥井 そのまま残っています。

―上下線が点対称に、要するに斜向かいに設置されていて、今は捲られていますが当時はその間に留置線があって、蒸機が待機していました。

奥井 良かったですよ。わりに見やすいし。

―ただ、機関車を切り離して、例えば上り列車から下り列車につなぐときに、つなぎやすいような配置になっているんですね。

奥井 そうなんです。ED30があそこにいたんだなあ。あれも撮りそこなったなあ。

―EF30ですか? 関門の?

奥井 いやいや、関門じゃない。交直両用の電気機関車が居たんですよ。デゴマルと同じ運用で。それを撮り損ねたんですよ、あそこでは。

(編集注:ED30形(2代)は、昭和37年に試作された交直両用電気機関車。形式は凸型の車体で、中央部の運転台屋根が前後に張り出していて、パンタグラフが2基乗っている、独特の姿をしていた。北陸本線米原―田村間で使用された後、鉄道技術研究所で実験に用いられ、昭和51年に廃車された。)

奥井 松阪からでは、ちょっと遠い、あそこは。

―確かに日帰りで行くと、撮影時間帯が限られますからね。富山のやつは、何かのついでなんですか。

奥井 あれは、何かのついでやと思います。

―はい。

奥井 あれはね、団体旅行かな。

―あのう、ついでにしたらしっかりカット数があったりするんですが(笑)。

奥井 はい(笑)。

―富山港線で活躍していたとは、驚きましたね。そこに直流の電気機関車を置くわけにはいかないからでしょうね。

奥井 そうでしょうね。

           

―そして、今度は九州のフィルムが出てきます。若松と直方機関区。若松はシゴゴで、筑豊本線の旅客列車は、全部若松で持っていた。

奥井 割に行きやすかったですね。

―はい。一方で、直方で一番多いのはデロクマルですか。デロクマルの一番の天下だったのかなって言う気がしますが。

奥井 そうでしょうね。

―機関車そのものより、直方機関区の風景の方が、これぞ蒸気機関車の基地というか、凄い映像ですよね。

奥井 運が良かったんですよ。

―奥井さんから見られた、当時のこの場所というのは、どんな感じだったのでしょう。

奥井 あそこは割に上から覗きやすい、跨線橋がありましたからね、だから撮りやすかったですね。それと天気が良かったし。ここも、団体旅行の流れから逃げたんですよ(笑)。

―そうですか(笑)。

奥井 大分に泊まった時に、食事を摂る代わりに市内電車を追うて……。

―別大線ですね。

奥井 そのあと、直方を通る時に、降ろしてくれ、言うて降ろしてもうて。それで撮ったんです(笑)。

―筑豊電鉄もこの時ですか(笑)。

奥井 それは、また別(笑)。

―直方機関区の規模というか、機関車の数って、どうでしたか。

奥井 多いと思うた。出ていくと入って来る、出ていくと入って来る、という感じで、そして右も左も注意しなきゃいけないし。撮りにくかったですね、そういう意味では。

―当然筑豊本線があり、伊田線が出ていて後藤寺の方へも行っていて……。

奥井 そこら辺が僕らもわからへんから、兎に角来たやつを何でもいいから一生懸命撮るのが精いっぱいで、時間をギリギリまで計算して、そしてタクーで走ったんですよ。

―短時間で、いくらでも撮影ができる。

奥井 ですから、撮った時間はホントに短いんですよ。瞬間を切り取ったていう感じで。

―時代は1971年、昭和46年ですから、新幹線はもう博多まで行ってるんですよね。その時代に、直方はこんな感で、すごいなあ! 濛々たる煙が上がっていて、街中煙だらけみたいな……。

奥井 こう、顔が真っ黒になっちゃったですよ(笑)。

―そうでしょうね(笑)。戻ってきたら、何してテン、みたいな……(笑)。

奥井 そうなんですよ(笑)。周りから、顔洗って来いって(笑)。あそうって(笑)。

―バスのシートカバーも真っ黒だったでしょう(笑)。

奥井 うん(笑)。

―そうですか(笑)。昭和46年2月に筑豊に行かれて、同じ年の5月に今度は伯備線の方に行かれているんですね。

奥井 はい。

―これは、「あさかぜ」に乗って行かれたんですか。

奥井 と、思いますね。

―名古屋から乗られて……。

奥井 行ったと思います。

―丁度、倉敷から伯備線を下って行くんですが、結構上りの通勤列車とかがデゴイチの牽引で……。

奥井 ま、撮れるものは何でも撮りますから。

―伯備線の列車も、当時は岡山へ直通していた訳でしょう。

奥井 ええ。

―岡山に着いたら新幹線ですものね。そんな時代なんですね。すごいなあ!

―で、伯備線の目当ては。

奥井 ホントはね、電話をかけて聞いたときは三重連あるよっていう話で、出かけたんです。ところが行ったら、「今日は運転無い」て言われたんです。で「こらあかんわ」。でも、あんだけ撮ったら満足しました。どうしても三重連を撮らなきゃならないっていう気は、僕は無かったから。

―はい。奥井さんの場合は、どちらかと言うと何かにピンポイントで集中するというよりも……。

奥井 何もかも撮るっていう格好ですから。

―だから、それほど三重連に対するこだわりはない……。

奥井 なかった。

―むしろ、伯備線のデゴイチが撮れた、ということですね。

奥井 そうです。一応、満足して帰ってきましたね。

―なるほど。それと、この機関車の時も、定番とも思える程、各地の機関区に訪問されていると思うんですけれど。

奥井 ええ。やっぱり行かんことには、解りませんもん、内容が。

―この新見機関区の場合は、どんな感じでした。

奥井 新見の場合は、割と、みんなゲームして遊んでいますよね(笑)。なかなか和気あいあいの機関区で、どうぞどうぞってな調子で、みんなぞろぞろ入ってきていますよ(笑)。

―やっぱりコースなんですか、布原で撮影してから……。

奥井 そうでしょうねえ。

―新見機関区を訪問するという……。

奥井 他にすることがないでしょう。だから、みんなあそこに行くんでしょう(笑)。

―伯備線を撮っている人たちには、姫新線とか撮りに行くには若干物足りなかったりするんでしょうか。奥井さんの場合は、行き帰りの行程の時間の関係で、そこまで足を伸ばすのは大変でしたが……。

奥井 うん、そうそう。まあ、あんだけ撮れりゃ、良かったですよ。

―はい。ここはここで、また違う機関区の姿があって、平・糸崎と色々出てくるんですが、それぞれちょっとずつ味わいが違って、非常に面白いなと思います。

奥井 ま、ホントにいい時期に、遊ばしてもらいましたね。

―それは言えますよねえ! 全部とは言わないまでも、手の届く範囲の所、時間的に行ける範囲の所で言うと、相当いいタイミングで……。

奥井 努力はしたと思います。

           

―この蒸気機関車篇<前篇>の後半は、割と地元・三重県松阪の周辺はどうなっているか、という感じで編集しています。お召列車がシゴナナ牽引で出てきますけれど、「臨貴列車」でしたか。

奥井 ここら辺を「臨貴列車」が走ってくれたんで、助かりました。一般の人たちは、ほとんど知らないですよ、「臨貴」は。

―「臨貴」は、またお召とは別ですからね。お召だと事前に案内があって、沿線に人が出て、というのがありますけど、こちらはほとんど知られていない。それこそ、踏切警手の方から情報を得たり……。

奥井 はい。

―どんな感じでしたか。「今日、何か走る?」みたいな感じで訊いたのでしょうか。

奥井 そうですよね。「臨貴」って書いてある。「臨貴」の「貴」は何なのって訊くと、「実はこうや」っていう話で。一番最初に行った時は、警備がどうのこうのと思うて行ったんですけどね、別に警備も厳しくないし、誰もおらへん(笑)。そんな感じでしたね。

(編集注:オランダ、ベアトリクス王女の来日行程は以下の通り

昭和38年4月2日〜11日に来日、午後5時すぎに迎賓館にて記者会見。

5日午後6時20分から歌舞伎座にて「京鹿子娘道成寺」を観劇。

5日夜10時10分発「金星」にて関西旅行に出発。

6日朝9時7分鳥羽駅着、御木本真珠島を一時間あまり見学された。

6日10時45分同駅発で京都へ向かわれる。

6日午後3時18分着の特別列車で鳥羽から京都入り。大宮御所で休憩された後、仙洞御所にて野点を楽しまれ、午後6時45分から都ホテルでオランダ総領事主催のレセプションに出席。

7日は京都観光の後、「都をどり」を観劇。

8日午後3時15分大阪国際空港から全日空特別機にて長崎県大村空港に到着。自動車で午後4時20分、長崎入り、出島を見学。本国から取り寄せたシャリンバイとバラを記念に植樹された。

9日は長崎市内を見学後、午後1時15分大村発のフレンドシップ機で東京に帰られる。同夜、浅草国際劇場でSKDの「東京おどり」を観劇。

11日夜に羽田から次のホノルルへ向かわれる。

以上、朝日新聞中部版より抜粋)

―お召列車の方の映像も入っているんですけれども、紀勢本線内はDF50の牽引だったんですね。

奥井 はい。

―それで、後の普通列車にシゴナナのお召機が……。

奥井 くっ付いて。

―回送されて行ってる。松阪駅で上りを撮られているのは、また回送で……。

奥井 回送です。

―お召列車自体はDF50牽引で先に行ってるんですね。国鉄ディーゼル篇に入っていますから。機関区の方で、ここは折角ディーゼルの新しいのがあるんやから引かせてやろうとか、そんなことはあるんでしょうかね。

奥井 車両の運用の都合やと思うんです。

―そうですか。

奥井 僕ら撮りに行って、あれ今日は蒸機と違うてDF50やなあ、と思うことがようありましたからね。

(編集注:昭和37年5月のお召列車の牽引機関車は以下の通り

1962(昭和37)年5月19〜26日の昭和天皇三重・和歌山巡幸に伴うお召列車

使用編成:新1号列車

5月19日

原宿―名古屋、EF5861(東京区)

名古屋―亀山、C57139(名古屋区)

亀山―伊勢市、DF5023+DF5024(亀山区)

5月21日

鳥羽―多気、C5779(奈良区)

多気―熊野市、DF5023+DF5024(亀山区)

5月25日

和歌山―王寺、DF5023+DF5024(亀山区)

王寺―名古屋、C5779+C57139(奈良区+名古屋区)

名古屋―岐阜、C5779+C57139(奈良区+名古屋区)

5月26日

岐阜―原宿、EF5861(東京区)

岐阜到着後、高山線側にある岐阜駅の転車台には東海道本線からは直接入線できなかったようで、大垣機関区まで回送されたらしい。

奥井さんが撮影された5月21日のお召列車は、鳥羽―多気が伊勢機関区乗務員、多気―熊野市は伊勢機関区多気支区乗務員が、それぞれ担当した。

C5779は伊勢市まで回送されて、新1号編成を牽引して鳥羽まで回送。鳥羽で天皇陛下をお乗せしてお召列車を運転。多気でDF50重連に交換してお召列車は熊野市へ。大任を果たしたC5779は一旦亀山へ回送され、C57139と共に改めて奈良へ回送されたものと思われる。鳥羽駅には転車台があったので、方向転換もできた。)

―逆にこの時代は、参宮線にDF50は入っていないんですね。

奥井 ええ。

―そこはシゴナナで行く。なるほど。奥井さんこの時は、意地悪な質問ですが、参宮線には撮りに行かれなかった。

奥井 いやあ、行かないです。あのころは割と忙しかったもんだから、他所へ行く余裕は全然なかったですね。

―それはもちろん、配達の途中とかだったり……(笑)。

奥井 それもあります(笑)。

―僕の想像では、奥井さんにとってはシゴナナのお召よりもDF50のお召の方が見たい……(笑)。

奥井 でもない(笑)。

―そういうことはないですか(笑)。ちょっとそうかなと思ったんですが(笑)。面白いのは、そのシゴナナとですね、シゴイチとの重連が非常に多い……。

奥井 ええ。

―そうですよね。

奥井 シゴナナはあくまで補機ですから。

―ええ。じゃ、あくまでもシゴイチをメインに。

奥井 まあ、そういうことですね。あったらシゴイチは撮る。シゴナナが来たら当然シゴナナも撮る(笑)。

―当然そうですよね。シゴナナなんてそれほど珍しいものじゃない、ということですよね。でも、名松線が割と早くから、転車台がないということもあるかもしれませんが、C11がバックで走ったり、面白いものがいろいろと出てきます。C11が単に客車を牽くだけでなくて、混合列車を引いていたり、気動車をくっ付けて回送していたり……。

奥井 いとも簡単についているでしょ(笑)。故障したやつですよ、絶対に。

―なるほど。すると、臨時工事列車も。

奥井 はい、いとも簡単に一緒にしちゃいますから(笑)。

―編成としては非常に面白いことになっていて(笑)。

奥井 ええ。

―蒸機があって、貨車があって、客車繋いで、貨車繋いで、そして蒸機という……。

奥井 はい(笑)。


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